今回はアニメ化する「ダンダダン」を紹介します。
「ダンダダン」第1話はこちらで読めます。
あらすじ
あらすじは、幽霊を信じないオカルトマニアの少年オカルンと、UFOや宇宙人を信じないが幽霊などを信じる女子高生のモモが、妖怪や宇宙人などと戦うオカルトバトル漫画です。
見所
オカルト系が好きな人は、オススメの漫画!
「ダンダダン」には、都市伝説で有名なターボババァや口裂け女、サンジェルマン伯爵、UMAのネッシー、地底人、そしてシュメール人などが登場して、オカルト系、特に雑誌「月刊ムー」やテレビ番組「やりすぎ都市伝説」が好きな人にはオススメの漫画です。
男の子が大好きそうなバトルシーンが満載!
「ダンダダン」には男の子が大好きそうなバトルシーンが満載です。
主人公のオカルンたちが妖怪や宇宙人と戦うときは、「シャーマンキング」の憑依合体みたいに、オカルンたちに取り憑いた妖怪の力を使って戦ったり
巨大怪獣と戦うときは、映画「パシフィックリム」みたいに、巨大ロボットに乗って戦うシーンがあります。
あと格闘シーンも良くて、シャコ星人というキャラクターが登場しますが、このシャコ星人はボクシングスタイルで戦います。ちゃんとボクサーみたい構えて(シャコ星人はマイク・タイソンみたいなピーカブースタイル)、パンチを打つ時は強く踏み込んだり、下半身を回転させたりして描いていて、あとキックなどの動作も上手く描けているので、作者の龍 幸伸先生はボクシングなどの格闘技が好きなのかもしれません。
大きいお友達が好きそうなオマージュやパロディが満載!
あとオマージュやパロディが満載です。
「ダンダダン」に登場する宇宙人や怪獣のデザインが、ウルトラシリーズでウルトラマンや怪獣、宇宙人などのデザインをした成田亨みたいで、龍幸伸先生は成田亨画集などを参考しているとインタビューで答えていました。
他には、特撮系やガンダムネタや、映画「AKIRA」の金田スライドや「マッドマックス 怒りのデスロード」ネタなど、細かいパロディやネタがあるので、元ネタを知っている人は読んでいて楽しいと思います。
作者 龍 幸伸先生について
学生時代
龍幸伸先生は子どもの頃から絵が得意だったみたいで、特に絵の学校行ったり、絵を学んだりしたことはなく、賞をもらえるくらい絵が上手かったようです。
この時は漫画家になろうとは考えていなかったと、インタビューで答えてます。
小学生の時に影響を受けた漫画は上山徹郎先生の「LAMPO-THE HYPERSONIC BOY」で模写をするほど好きな漫画だったようです。
中学生の時にハマっていた漫画は、「ベルセルク」や「AKIRA」、「スプリガン」、「アームズ」と答えています。
漫画家になるまで
龍幸伸先生は就職氷河期世代で就職ができずコンビニでバイトをしていて、バイト中、暇な時にレシート裏に絵を描いていて、それを見た店長が「絵が上手なら漫画家になれば?」と言われ、漫画家になることを目指します。
漫画の描き方などわからず、とりあえず大好きだった「ガンダム」の漫画をボールペンで100ページくらい描いて、「月刊ガンダムエース」に持ち込みに行ったら、編集者にボロクソに言われましたが、その後「君、絵が上手いから、アシスタントをやってみないか?」と誘われて曽野由大先生のアシスタントになります。
アシスタントの仕事は物凄く過酷だったみたいで、朝10時から翌日の朝5時まで仕事をして、寝るときはコピー機の隣で寝ていましたが、ちょうど龍幸伸先生が寝るときに、他のアシスタントさんたちが出勤してきて、コピー機をガンガン稼働して、寝れなかったみたいです。
仕事は過酷でしたが、ここで漫画の勉強をしたことがない龍幸伸先生は、一から漫画の描き方を教わることが出来て良い経験だったとインタビューで答えていました。
3年ほど、アシスタントをしながら、持ち込みをしていたら、連載が決まりデビューすることになります。
漫画家デビュー
「月刊少年マガジン」の新人賞を受賞して、2010年25歳の時に「正義の禄号」で漫画家デビューします。
しかし1年も経たないうちに打ち切りになり、2年後に野球漫画「FIRE BALL!」を連載しますが、こちらの漫画も1年半くらいで打ち切りになりました。
この時の担当編集者と反りが合わなくなり、他の雑誌に持ち込もうと思い、2015年1月頃に「ジャンプSQ.」に持ち込みをしようと電話をかけ、漫画を持ち込んだ時に、今の担当編集者の林士平氏と出会います。
「ダンダダン」連載まで
2015年の夏に「ジャンプSQ.CROWN 2015 SUMMER」で読切「恋愛栽培法」、秋に「ジャンプSQ.CROWN 2015 AUTUMN」で読切「神様のいる街」を掲載されましたが、途中で担当編集者の林氏が「ジャンプ+」に異動になった後、「週刊少年ジャンプ」で連載を獲得するために、数え切れないほど連載企画を出しました。
どれも連載会議に通らず、アシスタントをしながら、連載用のネームを出し続けますが、それでも連載会議に通すことができませんでした。
この時のアシスタント先が、「ファイアパンチ」や「チェンソーマン」を連載していた藤本タツキ先生の仕事場で、その時のアシスタント仲間は「地獄楽」の賀来ゆうじ先生や「スパイファミリー」の遠藤達也先生だったようです。
あと林士平氏から読切を描いてほしいと頼まれて、読切作品「山田キキ一発」描いたりしてました。
そして2019年。毎年、年末に藤本タツキ先生の職場で「今年も1年お疲れ様でした」という集まりで、林士平編集者に龍幸伸先生が「漫画が描けない」と言います。
その理由が、持っているものを全部出し切ったキョンシーものの企画が、連載会議に通らずボツになったからです。
話を聞いた林士平編集者は、龍幸伸先生に「1ページでもいいから、何でも好きなように描いてみてほしい」と言われ、龍幸伸先生は漫画を描くためにネタ帳を見返してたら、「『貞子vs伽椰子』が面白い」と書かれていて、「あ、これやろうかなぁ」と思い、「ダンダダン」のネームを描き、翌年の1月に完成し、連載会議に通します。
2020年春の連載会議で一発で通ることがき、やっと連載が決まりました。
「ダンダダン」連載
2020年の春に連載が決まりましたが、この時「チェンソーマン」と「地獄楽」のアシスタントをしていて、どちらも終盤の方だったので、最後まで手伝ってから連載始めようとしました。
そして2021年4月、「ダンダダン」の連載を開始します。
創作法
ここでは龍幸伸先生の創作法を紹介します。
イメージボード
イメージボード、またはコンセプトアートとは、作品の世界観や雰囲気を視覚化した「アートの企画書」ようなものです。
龍幸伸先生は、昔「ピクサー展」に行ったときに、イメージボードの作り方が紹介されていて、真似してみたら、自分に合っていたみたいで、イメージを掴みやすく、編集者にイメージを伝えやすかったので、連載用の企画の時はイメージボードを描いていたみたいです。
イメージボードやコンセプトアートを、どんなものか知りたい方は、映画やゲーム、アニメの設定資料集などが売られているので、好きな作品などがあれば買ってみるのもいいかもしれません。結構高いものが多いですが。
イメージボードやコンセプトアートの描き方を知りたい方は、ハンス・バッハーの「Vision」や「Sketchbook」を読んでみてはいかがでしょうか。
アイデアのつくり方
「ダンダダン」では主人公たちが妖怪の力を使って、宇宙人や他の妖怪たちと戦う設定ですが、この設定を作る決め手となったのは、「貞子vs伽椰子」の劇中で「化け物には化け物をぶつけるんだよ」というセリフがあり、このセリフが決め手となったとインタビューで答えています。
「リング」シリーズの貞子と「呪怨」シリーズの伽椰子を戦わせた「貞子vs伽椰子」
妖怪と宇宙人が戦う「ダンダダン」
「アイデアのつくり方」という本には、「アイデアとは既存の要素の新しい組み合わせ以外の何ものでもない」と紹介されいて、アイデアが全然思いつかないという人は、ここで紹介されている本を読んでみてはいかがでしょうか。
作画
龍幸伸先生の作画はGペンなどを使用したアナログ作画です。
下の動画で作画の様子が観れるので、プロの漫画家がどんな線を引いているのか参考になると思うので観てはいかがでしょうか。
まとめ
打ち切りが2回あり、連載用の企画を何回も通すが連載会議でボツになり、長い長い下積みを経て、ようやく「ダンダダン」が連載することができ、読者の反響も良く、今では累計発行部数320万部突破し(2023年12月時点)、そしてアニメ化。ヒット作が描けて良かったです。
おしまい。
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