【スパイファミリー】感想

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今回紹介する漫画は累計発行部数3800万部(2024年時点)の「スパイファミリー」です。

第一話はこちらで読めます。

あらすじ

冷戦時代の東ドイツをモデルとした国で、凄腕スパイ<黄昏>にミッションが命じられる。

そのミッションとは、戦争を企てる政治家デスモンドの計画を突き止めること。

しかしデスモンドは、ほとんど表舞台に現れず、唯一現れるのは息子が通う名門校の懇親会。

懇親会に潜入するため、独身の<黄昏>は即席の偽家族を作れと命じられるが…

感想・見所

感想

本当に「TISTA」、「月華美刃」を描いた遠藤達哉先生の作品か!?というくらい面白かったです。

話のテンポも良く、絵も今作から描き込みを少なくして見やすくしたと語っていたので、スラスラと読みやすかったです。

「月華美刃」打ち切り後、しばらく漫画が描けない状態だと話していて、今作の「スパイファミリー」は元々はリハビリのつもりで描きましたが、特に「これが描きたい!」というのがなく、読者が求めるものを描こうとして描いたら、読者に好評で、たちまちに人気作になり、アニメ化され、ジャンプ+の看板作品になりました。

遠藤達哉先生はリハビリのつもりで描いた漫画が、こんなに人気作になるとは思わず驚いて、ヒットした意味がわからず、忙しくなり、もはやリハビリどころじゃなく、しんどいと語っていました。

見所

見所は1960年代から1970年代のヨーロッパのファッションや、その当時のドイツやイギリスの建物を参考にして描いているので、とてもオシャレです。

作画する時は大変みたいで、作画時間の五分の一は資料を探したり、調べたりしていると語っていました。

解説

家族愛がテーマ?

読者の方々や、アニメの制作者など、いろいろの方たちが家族愛などに注目していますが、遠藤達哉先生はもっとドライに描きたいと答えてました。

ストーリーは特に決まっていない!?

「スパイファミリー」のストーリーは全部緻密に計算されている感じですが、インタビューで遠藤達哉先生は、ストーリー展開はあんまり考えておらず、毎回行き当たりばったりと答えていて、大筋も特に決まってなく、あと結末もまったく決まっていないと答えていました。

読切「煉獄のアーシェ」+「石に薄紅、鉄に星」+「I SPY]=「スパイファミリー」

 「スパイファミリー」は連載前に描いた読切3作品の要素を組み合わせた作品だとインタビューで答えてました。

 「煉獄のアーシェ」は魔女狩りを題材にした作品で、ヒロインの女の子がアーニャの元ネタだと遠藤達哉先生は答えてました。
あと「煉獄のアーシェ」は芥川龍之介の「魔術」を参考にして描いたと答えてました。

 「石に薄紅、鉄に星」はメデューサの女の子を軍人のガスが王都に連れて帰り、いろいろと問題が起こるという話です。この作品ではスパイファミリーの疑似家族の原型となる「強い男、訳ありの強い女性、能力者の幼女」の3人が登場します。
「石に薄紅、鉄に星」は「愛しているぜベイベ」と「モンスターズインク」を参考したと答えてました。

 「I SPY」は凄腕スパイに一目ぼれした女子高生がストーカーする話です。
この読切が好評で、スパイを題材にした「スパイファミリー」を作ります。

紹介した3作の読切はどれも完成度が高く、漫画家志望の方は、この読切を参考にして漫画を描いてみてはいかがでしょうか。

「スパイファミリー」を描くのに影響を与えた映画作品

ここでは、「スパイファミリー」を描くのに参考した映画作品を紹介します。

「ブリッジ・オブ・スパイ」

ブリッジ・オブ・スパイ」 2016年公開。スティーヴン・スピルバーグ監督作。主演トム・ハンクス。

1960年のU-2撃墜事件を題材にした作品で、ソ連の捕虜になったパイロットを解放するために動く弁護士の話です。

編集者が「スパイファミリー」を制作する前に参考に見せた映画です。

「善き人のためのソナタ」

善き人のためのソナタ」 2006年公開のドイツ映画です。

1984年の東ドイツを舞台にした映画で、秘密警察の主人公が反体制の疑いがある劇作家の監視する命令を与えられ、劇作家のアパートに盗聴器を仕掛けて、徹底的に監視するが、劇作家が弾いたピアノソナタを聞いた秘密警察の主人公は心を激しく揺さぶられて…という作品です。

「スパイファミリー」41話目は、この映画を参考にして描いたと遠藤達哉先生はインタビューで答えていました。

「キングスマン」

キングスマン」 2014年公開。マシュー・ヴォーン監督作。

世界最強のスパイ機関「キングスマン」。キングスマンのエリートスパイが指令で、何者かに惨殺されたエージェントの代わりに不良少年を新人候補としてスカウトするが…という作品です。

担当編集者は、豪華客船でのヨルの戦いは、この映画の戦闘シーンみたいに敵をバタバタ倒してほしいと話してました。

作者 遠藤達哉 先生について

3作目でようやくヒット!

遠藤達哉先生は2000年、20歳の時に「西部遊戯」でで第5回ストーリーキング漫画部門準キングを受賞。「赤マルジャンプ」2000年SPRINGでデビュー。

その後いくつかの読切を描いて、2007年「ジャンプSQ」で「TISTA」を初連載しますが、2008年に連載が終わります。

連載終了後、「青の祓魔師」の加藤和恵先生のところでアシスタントを勤めます。

「ジャンプSQ」2010年6月号で「月華美刃」を連載。2012年2月号で連載終わります。

「TISTA]から「月華美刃」まで描きたいものを詰め込みましたが、それ以降は描きたいものがわからなくなり漫画が描けなくなって、15年ほど鬱々としたとインタビューで答えてました。

メンタルを回復するためのリハビリで、たまに読切を描いたり、「進撃の巨人」の諌山創先生、「ブルーロック」のノ村優介先生、「チェンソーマン」の藤本タツキ先生、「地獄楽」の賀来ゆうじ先生など、いろんな漫画家さんのアシスタントをしていました。

「スパイファミリー」連載前に描いた読切「医師に薄紅、鉄に星」、「I SPY」の評判が良く、担当編集者さんは、そろそろ連載に挑戦できると思い、遠藤達哉先生に「スパイファミリー」の連載用ネームを描いてもらいました。

そのネームが連載会議で好評だったので連載が決まります。

1話目から人気で、コミックスの売り上げも良く、「ジャンプ+」の看板作品になります。

特にスパイモノが好きではない!?

インタビューで、遠藤達哉先生は特にスパイが好きではなく、正体を隠しているというシチュエーションが好きだからスパイモノにしたと答えてました。

スパイ関係の資料用の本も、たくさんありますが、ほとんど読んではいないようです。

作画

線画はアナログで仕上げはデジタルで漫画を描いています。

使用していたペン先はカブラペンでしたが、今はつけペンをやめて、主線の7割くらいはマッキーで描いて、細かい部分はピグマで、アクションで勢いを出す時はつけペンを使用しているとインタビューで答えてました。

1日の執筆量は4ページを目安で描いていると答えてました。

まとめ

リハビリのつもりで描いた漫画が評価され、大人気になりましたが、遠藤達哉先生が一番描きたい漫画は、元々ミリタリーものが好きで、「昭和の戦争史」みたいなドキュメント番組もよく見ていたので、それを根底にした漫画が描きたいとインタビューで答えてました。

一度、連載用に戦時中が舞台で、軍の人体実験施設に学徒動員された子供たちが巻き込まれて…という内容のネームを出しましたが、暗すぎてボツになったみたいです。

著者は戦時中の話や戦後の話が好きなので、「スパイファミリー」の連載が終わったら、次はなんでも描かしてくれると思うので、ぜひ戦時中が舞台の漫画を描いてほしいです。

おしまい。

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